必要とされる能力、やらなくてはいけないとわかっていても、日々の仕事に追われて学べない。そんな人に、識者の勉強法を公開。
どうなりたいかで付き合う人を見極める
コミュニケーションは相手の話を聞いて理解するだけでなく、それに見合ったリアクションを起こして成立するものだが、人脈も似たところがある。単に面識があるというだけでは意味がない。自分のために動いてくれる人こそ人脈であり、その人数を増やしていくのが人脈づくりといえるだろう。
では、人脈をつくるにはどうすればいいのか。大前提になるのは、自分の未来に明確なビジョンを持つことだ。10年後の自分はどのようになっていたいか。3年後でも構わない。まずはなりたい自分を考え、それを実現するために必要な人物を見つけて味方にする。出会った人が偶然、自分の人生に深く関わるケースも稀にあるが、人脈は自分で戦略的に構築するものだと私は考えている。
たとえば、銀行マンが将来は頭取を目指そうと思うなら、財務省の役人と知己を得ておくのが得策だろうし、起業したいなら、そのビジネスに関わる人を味方にしておきたい。志の高い同期と仲間になるといい場合もあるだろうし、仕事とは無関係の大手企業の役員にかわいがってもらうことが将来に結びつくこともあるはずだ。
下心を持って交友関係を持つことに抵抗を感じるかもしれないが、誰しも与えられた時間には限りがある。その中で人脈を構築するにはしたたかさも必要なのだ。
では、自分の未来に有益な人物はどのように見つけるのか。社外の場合、月に1度ぐらいの頻度で、もらった名刺を見直して、自分にとってのキーパーソンを見つけ出すといい。出会ったときには気にとめなかった相手でも、見直すと将来に関わりのありそうな人物が浮上してくる可能性があるからだ。
私自身、たまたま知人から紹介されたベンチャー企業の社長と仕事で深いつながりを持つようになった。会ってから1カ月後に名刺を整理していて、彼が自分のビジネスで求めている人物であることに気づいたのである。見直しても空振りに終わることもあるだろうが、見直さなかったことで、せっかくのチャンスを逃しかねないのもまた事実だ。
キーパーソンを見つけたら、迷わずにコンタクトを取ろう。ただし、1度、会って終わってしまっては意味がない。
自分がただ情報をもらうだけではなく、相手にもメリットになることを与えること。たとえば「これを機会に勉強会を開きましょう」などと、2度、3度と会わなければならない必然をつくり、自分のために動いてくれる関係性を醸成する。相手にもメリットをつくる。これが人脈づくりのテクニックである。