今、仮に、知能指数が60の「のんびり屋さん」と、知能指数が180のアインシュタインがいたとする。人間は、誰が誰よりも賢いか、異常なほど気にするから、アインシュタインとのんびり屋さんの頭の違いは、とてつもなく大きいと感じてしまう。

しかし、もし将来、たとえば知能指数が4000相当の人工知能ができたとしたら、どうだろう? そのような人工知能に比べたら、アインシュタインとのんびり屋さんの差など、取るに足らない。

人類が、全体として、人工知能との「賢さの競争」に負けてしまうことは、恐らくは避けられない。だったら、そろそろ、誰が誰よりも賢いかとか問題にしないほうがいい。

若者と話していると、いわゆる一流大学に入った学生は、自分の「頭の良さ」にプライドを持っていることが多い。一方、入るのがやさしいとされる学校に行っている人は、なんとはなしに劣等感を抱いているようである。

若者たちに言いたい。そんなことを気にするな! すぐに、人間の賢さの差なんて問題にならない時代が来る!

人間の強みは、感情の豊かさにある。喜怒哀楽などの典型的な感情はもちろん、言葉にできない微妙な気持ちまで、さまざまな感情がコミュニケーションに用いられる。

人工知能が感情の豊かさで人間を上回るのは難しい。そもそも感情とは何か、工学的に実装できるモデルさえ、いまだに存在していないのだ。

頭の良さなど、気にしなくていい。何よりも、自分はどれくらい賢いかなどと、不安に思うのがよくない。不安は感情の1つだが、それに支配されると、せっかくの感情の豊かさが阻害されてしまうのだから。

肝心なのは、リラックス。これからは頭の良さよりも、心の豊かさを大切にしよう。

(写真=PIXTA)
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