――今年5月に、新しい中期経営計画が始動した。

【押味】中村満義前社長に計上していただいた工事損失引当金もあって、アルジェリアの高速道路工事や安値で受注した大型ビルといった不採算案件の処理は、ほぼ終えた。中期計画では、今後本格化する東京五輪やリニア中央新幹線などの案件も含めた大型受注増を視野に入れ、反転攻勢の姿勢を示したと思っている。

1年目は特に大切だが、15年度の受注量は相当上がると見ている。連結経常利益は430億円(前年度比約2倍)を見込んでおり、17年度は650億円を目指している。

中期計画の肝は、これまで強固だった支店の枠を越えて社員の流動性を高め、協力会社とともに必要なときに必要なところへ移せるようにすることだ。増える仕事の平準化・効率化のためだが、これは海外への社員のシフトも睨んでいる。長期的には国内の受注の増減に左右されぬよう、現状で3割弱の海外売上高比率を4割程度まで引き上げたい。既存の海外拠点に加え、ベトナム、ミャンマーといった今後の成長が見込める国にも注力していく。

鹿島社長 押味至一
1949年、神奈川県生まれ。74年東京工業大学工学部建築学科卒業、鹿島入社。2005年執行役員・横浜支店長。08年常務執行役員。09年建築管理本部長。10年専務執行役員。13年関西支店長。15年4月副社長執行役員、6月より現職。

出身高校:横浜市立南高校
長く在籍した部門
:ビル建築部門
座右の書(または最近読んだ本)
:『竜馬がゆく』
座右の銘
:人間万事塞翁が馬
趣味
:サッカー観戦

(岡村繁雄=構成 奥谷 仁=撮影)
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