海外で稼ぐ割合が増えた日本企業は、目まぐるしく変化する世界情勢の影響をまともに受けるようになっている。いっときの成功に酔いしれている暇はない。2015年、新しくトップに就任した男たちはどんな戦いを挑むのか。

「日本一」の意識を捨て、世界に貢献

売上高、旅客数で国内トップに立った。伊東信一郎現会長と二人三脚で経営の舵取りを担った。社長就任についても「世代交代、巡り合わせ」と驚きはない。東大法学部卒。人事、経営企画と社内の中枢を歩んできた。「安全を守って、お客様や取引先を大切にして、国際線で成長させたい」と抱負を語る。

――スカイマークの再建案はANA支援で決着。羽田では発着枠の約6割をANAグループが握る。再び寡占、料金上昇などが懸念されている。
ANAホールディングス社長 片野坂真哉氏

【片野坂】誤解しないでほしい。6割という認識はない。スカイマークはANAグループではない。AIRDO、スカイネットアジア航空なども独禁法があり、出資比率は2割を切る。運賃、路線を決めるのはあくまで彼ら自身だ。我々はWIN-WIN関係に基づくパートナーにすぎない。ANA支配という見方は偏っているし、非常に反発を感じる。

――結果はどう予測していたか。

【片野坂】我々の支援が最善であることに尽きる。すでに整備などでスカイマークの支援に入っていた。もともと、この結果と違う結果が出ることは、想像していなかった。むろん企業であり、いろいろな矢が来たら、よけないといけない。常に適切な判断をすることが重要だ。

――トップになって、社内を見る視線はどう変わったか。

【片野坂】副社長のときは、社長をサポートする立場。社長は社長としての責任がある。社長になって4月に初めてアメリカに出張した。CAたちは空中1万メートルの高さの中で、一生懸命サービスをしていた。考えてみれば、ANAグループというのは職場が非常に幅広い。空港ターミナル、バックオフィス、車両整備、貨物基地、営業、海外拠点、それに空中。我々の職場は地球空間のすべてに散らばっている。責任は重い。