――人を動かすときの要諦とは何か。
【片野坂】その人物が“重い”かどうか、まず見極めることだ。人はなかなか動かない。肩書が付けば、一応動いたように見えるが、面従腹背というのもあり、相手が巧妙だとわからない。会議で限られた時間に目立つには、まず質問をするというやり方があるが、いかにもといった質問をして、賛成なのか、反対なのか、言わない。だから、関ヶ原の小早川秀秋のような人物が出てくる。人を説得するには、正しい信念と事例と納得感を持たせないとダメだ。
――2025年までに国際線を拡大、売上高は2.5兆円を目指している。
【片野坂】旅客数や売上高で一番手であるという意識が社員に芽生えた途端、企業はジワジワと弱くなる。その意味で言えば、一番の自覚はない。財務体質もJALのほうが上だ。我々の挑戦力はまだ強い。JALと同じことをしていては危ない。人口1億1社論で言えば、日本は2社。危機感は非常に強い。新規路線はやるべき。今年はヒューストン、マレーシア、ベルギーと、久々にシドニーも復活させる。世界の人々に貢献すること。それが我々の使命だ。
ANAホールディングス社長 片野坂真哉
1955年、鹿児島県生まれ。79年東京大学法学部卒業後、全日本空輸入社。2011年常務、12年専務企画室担当、13年ANAHD代表取締役副社長、人財戦略、経営戦略、グループ事業推進担当、15年4月より現職。
1955年、鹿児島県生まれ。79年東京大学法学部卒業後、全日本空輸入社。2011年常務、12年専務企画室担当、13年ANAHD代表取締役副社長、人財戦略、経営戦略、グループ事業推進担当、15年4月より現職。
出身高校:ラ・サール高等学校
長く在籍した部門:営業、マーケティング、経営企画
座右の書(または最近読んだ本):『徳川家康』
座右の銘:志千里に在り
趣味:読書、音楽、落語、ガーデニング
(國貞文隆=構成 葛西亜理沙=撮影)