海外で稼ぐ割合が増えた日本企業は、目まぐるしく変化する世界情勢の影響をまともに受けるようになっている。いっときの成功に酔いしれている暇はない。2015年、新しくトップに就任した男たちはどんな戦いを挑むのか。

世界14カ国でシェア1位を狙う

グローバルではアジアとオセアニアを販売エリアとする富士ゼロックス。地域14カ国中9カ国でシェアナンバーワンを誇っているが、さらに存在感を示すために、どのような展開を考えているのか。

――営業畑でキャリアを積んだ。
富士ゼロックス社長 栗原 博氏

【栗原】営業時代は上司に恵まれた。初めて上場企業の担当になったとき、私が「お客様のことはよく知っている」と得意げに言うと、当時の上司に「知るだけでは甘い。知り抜け」と叱られた。それまで中堅中小のお客様で実績をあげていたので自信があったが、実際に上場企業担当になると、いままでのやり方が通用しなかった。当時は「なにくそ」と反発したが、あのとき天狗の鼻を折られてよかったと思う。

――若手時代には何を学んだか。

【栗原】係長で初めてチームを持ったとき、新規開拓をミッションとして与えられた。自分たちで目標を決めていいと言われたので、商品を何台売るという従来型の目標値ではなく、プリントボリュームを500万枚取ろうと決めた。これまでの組織とは違うことを前面に出そうと、自分たちで「グリーンベレー」と名乗って活動した、いい思い出だ。

このとき学んだのは、新しい取り組みほどやり抜く覚悟が必要だということ。新しい取り組みでは「この程度でいい」と妥協しがちだが、比較対象がないときほど、とことんやりつくすべきだ。その後も新しい支店や事業の立ち上げにかかわったが、いつもその気持ちでやってきた。

――山本忠人前社長が会長になり、ツートップの体制になった。

【栗原】当社はリーマンショックの後に売り上げや利益が落ちたが、山本の指揮のもと体質改善を進め、ようやくリーマン前の水準を超えた。さらに経営のスピードを上げるには執行と経営を分離する必要があると山本は考えたのではないか。