優秀な社員がひしめくなか原点回帰
2000年入社の同期は、280人前後。東大卒は30人ほどで、横浜国大卒は2~3人だったという。
「たしかに東大は多かったのですが、学歴だけで採用を判断した、とは思えないですね。個性的な人が多かったようにも感じます。同期には入社早々、辞める人もいて、退職者が多いという印象を持ちました」
所属は、チェンジ・マネジメントグループ。クライアント企業や行政などの組織改革や人材の活性化をする。海外などでの研修を終えた後、さまざまなプロジェクトに配属された。その際、慶應義塾大学出身や立命館大学出身の上司や同僚とともに働いた。
「学歴の差? マネジメント力など、仕事についてはみなさん優秀で、差はないと思いました。職場で学歴のことが話題になることはなかったように記憶しています。私も仕事を覚えることで精一杯でした」
優秀な社員がひしめく中、学歴について考えている余裕はなかったと振り返る。
「ビジネス雑誌などの“大企業役員・大学別ランキング”などを見て、上位に自分が卒業した大学があると、喜ぶ人が世間ではいますね。たぶん、学歴を心のよりどころにしているのでしょうね。今、職場で認められなかったり、不満があったりするから、過去の栄光にすがろうとしているのではないでしょうか。アンダーセンコンサルティングでは、周囲はみんな優秀でしたから、学歴のことを持ち出すなんてさすがになかったと思います」
下田氏は、少なくとも10年は在籍しようと考えていたが、3年で辞めた。27歳のときだった。
「私は落ちこぼれに近い存在でしたから(苦笑)。優秀な人たちのなかで、将来への自信のようなものをみつけることもできませんでした。仕事はおもしろかったのですけど。とりあえず、原点に戻ろうと思ったのです。原点回帰の心理でした。テニススクールでコーチングやマネジメントに興味を持った頃に」