自分の人生に付加価値をつけたい

【田原】ちなみにいまは博士課程でどんなことを研究しているのですか。

【鈴木】いま真面目に書こうとしているのは2つです。1つは、ホストにハマる女の人のこと。もう1つは、私たちが女子高生だったころのブルセラブーム。

【田原】少し前、キャバクラに勤めている18歳の女性がホストクラブで借金をつくって、金銭トラブルで生き埋めにされたという事件がありました。借金してまでホストクラブで遊ぶ気持ちって、鈴木さんわかる?

【鈴木】ホストクラブはものすごいケタのお金が動きます。お客の女の人は普通の世界とホストクラブを行き来しているから、考えられない額を借金してホストクラブに通うことになる。冷静に考えれば、そんなの20歳前後の普通の女のコが背負えるレベルじゃないとわかるのですが、ホストクラブは人を狂わせる場所だから本人たちは気づかない。というか、そもそも狂いたい女がいくところだから、まわりが説教したって無理です。

【田原】狂いたいときに遊びにいく場所ですか。鈴木さんも狂いたくなったりするの?

【鈴木】ありましたけど、ホストはもういいです。十分に狂って、痛い目に遭いました(笑)。

【田原】今後の話も聞きましょう。将来、大学の先生になりたいわけじゃないんだよね。将来は何やるの?

【鈴木】どうしましょう。とりあえず物を書く仕事はずっと続けていきたいです。ただ、それだけじゃおもしろくないので、自分の人生に何か付加価値をつけていきたいとは考えています。

【田原】夜の商売に戻る気はないんですか。

【鈴木】うーん、どうですかねえ。夜の世界は楽しいですけど、いま普通にホステスとか風俗店の一従業員として働くのはもう面倒かな。これまでと違う形で、夜の女性に発信する立場だったりとか、もしくは夜の女性向けに何か商品を売るといった選択はあるかもしれません。

【田原】いっそ自分でキャバクラを経営してみたらどう?

【鈴木】いやあ、無理っす。ホステス仲間の中には、「いつか自分の店を持つ」というコもいてかっこいいなと思うんですけど、私は経営センスがないから。わりと情に厚いところがあるので、シビアに判断できなくて失敗するのが目に見えてます。

【田原】そうか、情にほだされるタイプなのか。

【鈴木】それもあるし、自分でお店まで持てるコって、「ここでしか私は生きていけない」と思い込む強さがあるんですよね。私は逆に、「ここがダメなら、あっちがあるさ」という生き方をしてきて救われた部分が大きい。これからもきっとそういう生き方になるから、本気でお店をやりたいというコにはかなわないかも。

【田原】これから鈴木さんが何者になるのか、いろんな可能性があるということですね。次にあったときに鈴木さんが何をしてるのか、楽しみです。