たとえば、奥さんに怒られた話や子供にバカにされた話でもいい。あるいは「電車を乗り間違えて終電がなくなり、新小岩で一泊した」といった失敗エピソードがあれば、そこで笑いをとった後、「僕は、電車の時刻表は読めないんです。僕にわかるのは株式チャート。そこから、この先どう動くかを見極めることしかできないんです」とやればいい。そこで「この人は面白くて、やさしくて、身近な感じだな~」と思った相手は株の話も聞きたくなるんです。
「TECHNIQUE 1」では、自虐ネタとまではいかない、子供の“おとぼけ”ネタを紹介していますが、まじめなやり取りだからこそ、笑いにつながります。また、子供の話はたとえ腹を抱えて笑うほど面白くなくても、場を和ませてくれるのに役立ちます。
それと、このやり取りでポイントとなることがもう1つ。聞き手は、なんとなく話の先読みをしながら聞いているもの。「大きくなったら何になりたいの?」と僕が質問した時点で、「パイロットかな? スポーツ選手かな? スパイダーマンかな?」などといった答えを思い浮かべるはずです。そこへ「消防士」ではない「消防車」といった、ちょっと違ったイメージの答えがくるから面白い。三平師匠のエピソードも同様ですよね。聞き手の頭の中をイジるような結果になるわけです。
失敗談などの自虐ネタにせよ子供の話にせよ、やや無理矢理でも、そこから本来のテーマである、経営、セールス、夢、将来、教育、家族、しつけ、防災、医療などなんにでも結びつけることができます。ちょっとだけ、実際に話す練習をしてみるといいですよ。
TECHNIQUE 4●地方出張編:相手に身近さを感じさせる
(ある地方へ行って話をすると想定して……。○○はすべてその地域の人なら知っている名称)
【パックン】こうやって地方にお邪魔すると、方言に困ったりすることがありますが、その前に僕の日本語がまだまだですよね。今日、こんなことがありました。○○空港に着いたのがちょうどお昼頃だったから、美味しいラーメン屋さんを教えてもらって○○ラーメン店まで、タクシーで行ったんです。そこで「降ろしてください」って言うつもりで言っちゃったのは「ここで殺してください!」。
○○タクシーの運転手の△△さん、驚いていましたね!
▼コミュニティにはそれぞれみんなが共通にもち合わせている情報や知識、共感できるものがある。方言の実例や空港名、タクシー会社の名前など、ローカルな情報が入っているとウケが断然よくなる!