話し上手の鍵はコモンプレイス

笑いを生む重要な要素に「コモンプレイス」があります。これは、笑いをとりたいときだけでなく、人とコミュニケーションをとる際に、とても大切です。

では、コモンプレイスとは何かというと、これを日本語に訳すのが少々難しい。

「その場にいるみんながもち合わせている情報、知識、感覚」とでも言えばいいでしょうか。地域、会社、部署、学校などコミュニティによって、それぞれ異なるコモンプレイスが存在します。

国によっても価値観が異なります。日本では「安全・安心・元気・マナー」、米国では「自由・自主性・独立心・実力主義」などが心に響くコモンプレイスになります。

そのため、日本語の「元気」などを英語で表現するときは大変苦労します。たとえ同じテーマを話すにしても、話す相手が誰かを考えて、その人の価値観にあわせた言葉を選べば、それだけで相手との距離も縮まるというわけです。

もし聞き手が医療関係者であれば、その業界がよく使う医療用語を話に盛り込むのも手ですし、面白いもちネタがあるなら、登場人物を医療関係者に置き換えるのもいい方法です。

TECHNIQUE 5●美味しくいただく「テンドン」

【パックン】相手の話をよく聞いて、そこからヒントを得て笑いをとるのが大事です。

お笑い用語に「テンドン」といわれる言葉がありますが、これは頭に出た話題(天)を後に使ってドンと落とすことです。

会話をしている際に、フックのあるキーワードが出たら覚えておきましょう。そのあと、どこかでそれを引き出すと有効的です。

相手も笑うし、そうひらめく瞬間は頭上に電球が点灯する感じで自分も気持ちいい。

その電球ももちろん訪問販売のLEDでしょう。
 

この例は、TECHNIQUE 2に出てきた学生の電球販売の話を最後に復活させている。まさにテンドン。それを読んだ人にしかわからないからこそウケる。会話も同様に生きもの。