意表をつく答えが笑いを呼ぶ

面白い話をするとなると、ジョークや落語家がやるような定番の噺を頭にたたき込んで、それをうまく演じきることだ、と考えるかもしれません。ですが、さすがにそれは一般的には難しすぎます。多くの人は構えすぎて、言葉が自然に出てこないのではないでしょうか。

では、誰もが自然に話せるネタは何かといえば、その人の実体験です。そしてその実体験が、失敗談であったり、自虐ネタにつながるようなものであれば、かなりの確率で笑ってもらえます。家族や友人、知人などから聞いた話でも、実体験に近い感覚で話せるでしょう。

林家三平師匠のネタで、先代の三平師匠、つまり、自分のお父さんについてのエピソードがあります。

(先代の三平師匠が赤信号を無視して急いで横断歩道を渡ったら、お巡りさんに止められた)

【警察官】あら!? 三平師匠じゃないですか? ダメですよ、信号を無視しちゃ。

【三平】ごめんなさい。見えなかったもので。

【警察官】信号が?

【三平】いや、お巡りさんが。

「バカでしょ。うちの親父は……」という自虐ネタになるわけです。

「自分には、そんなに面白い自虐ネタはないな」と言う人もいるかもしれません。でも、それは考えすぎです。自虐ネタのポイントは、自分のバカさ加減をさらけ出すことにあります。そのことによって、親近感や興味をもってもらうのが目的です。そうすれば、その後の話がすごく相手に届きやすくなるのです。

TECHNIQUE 3●国民性編:その場にいるみんなを心地よくする

もしもシリーズ。

自分が60分間講演をするセミナーに寝坊して15分遅刻をしたら、どうする?

【アメリカ人】自分が帰る時間は予定通りにしたい。早口でしゃべって間に合わせる。(事足りる主義)

【フランス人】開始時間が遅れようが、とにかく話したい気分だし。終了が1時間オーバーしても気にしない、気にしない。(ただの話し好き!)

【イタリア人】遅れてきたけど、まぁいいや。30分で切り上げて帰ろうかな。(おいおい、遅れてきたのに予定より早く帰っちゃうの?)

【日本人】そもそも遅刻しない。
 

日本人の特徴をとらえているだけでなく、日本人にとっての“誇り”の部分もくすぐっている。だから、日本人には喜んで笑ってもらえるよ!