地方へ行った場合などは、地元の飛行場や駅の名前、飲食店の名前、地元スーパーの名前などを出せば、一気に親近感をもってもらえます。それを話のきっかけにして、別の場所で起きた話をしてもいいんです。

たとえば……、

僕、○○市に来たら必ず○○ラーメンというお店で○○特製チャーシュー麺を食べるんです。さっきも食べてたら、東京のラーメン店での出来事を思い出しました。

そこの店主が「いつもテレビで見てますよ。サインを書いてくれたら、ご馳走します」って言ってくれたんです。でも、よくよく話を聞いたら、僕をセイン・カミュと間違えている様子。とはいえ、僕としては、せっかくだからラーメンをご馳走してほしい。

結局、「セイン・カミュ」と色紙に書いたんです。スペルがわからなかったのでカタカナで。

基本的に、ジョークを言おうと意気込むと、なかなか人を笑わせるのは難しくなり、話もうまく展開できなくなります。

それより実体験のエピソード、しかも失敗談や自虐ネタ、周囲の人のおとぼけ話などをネタに、聞き手にとって身近な情報や言葉、つまりコモンプレイスをうまく活用して盛り込むことです。それさえ押さえておけば、バッチリ!

TECHNIQUE 6●スピーチの場で目の前の人を「イジる」

(聞き手のみんなが手を挙げるような質問をして、あらかじめ見定めていたターゲットに“ふる”)

【例1】じゃ、そこの中途半端な正装の方!

【例2】じゃ、そこのすらりと長い首をおもちの方!
 

なぜか日本人は「中途半端」という言葉で笑ってくれる。いろいろなバリエーションを研究してみると面白いかも!?一方、「すらり」の次には「足」がくるとみんな思い込んでいるわけで、そこへ「首」をもってくるのは茶化し。でも、言われて悪い気もしないでしょ?

TECHNIQUE 7●日常の中で人とからみ面白がり楽しい時間を提供

【男性A】Bさん、今日はおきれいですね!

【女性B】今日は!?
 

仕事場でこんなやり取りが耳に入ってきたら、思わず笑っちゃうでしょ? しかも、このようなやり取りを真似して、自分でも言ってみたら意外とウケた、という経験もみなさんあるのでは? そうしたことをきっかけに、いろいろなパターンを覚えていけば、引き出しがどんどん増えます。あなたもきっとできますよ!

パトリック・ハーラン
1997年、吉田眞(マックン)とお笑いコンビ「パックンマックン」結成。NHK「実践! 英語でしゃべらナイト」をはじめ多くのテレビ番組に出演。著書に『ツカむ! 話術』(KADOKAWA刊)など
(構成=小澤啓司 撮影=遠藤素子)
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