オックスフォードを飾る伝説の日本人

スポーツの歴史を学ぶということは、その本源を知るということである。2003年にイラクで殺害された外交官の奥克彦さんを偲ぶ、ラグビーの「奥克彦記念杯」が13日、ロンドン郊外のオックスフォードで開かれ、奥克彦さんの母校、早大とオックスフォード大が対戦し、親善を深めた。

好天下の試合では、早大が7-26で敗れた。遠征に同行した益子俊志・元早大監督は「学生たちには、オックスフォードの歴史と品格を学んでほしい」と言った。

「ラグビーはもちろん、スポーツには国籍を越えて、人々が交流する文化がある。オックスフォード大ラグビー部は140年以上の歴史を持つ。そのラグビー部から尊敬されている奥克彦さんという方がどういう人間であったのか。学生たちにはそれを肌で感じてもらい、奥克彦さんのように世界で勝負していく人間になってほしいのです」

早大ラグビー部は1918(大正7)年創部。日本のルーツ校の慶大ラグビー部は1899年で、オックスフォード大ラグビー部の創部は1869年にまでさかのぼる。世界最古の大学のラグビー定期戦、オックスフォード大×ケンブリッジ大の「バーシティマッチ」は1872年に始まった。

そのオックスフォード大に、外務省に入省した奥克彦さんが1982(昭和57)年、2年間の予定で留学した。ラグビー部に入り、伝統の濃紺ジャージーに袖を通して1軍でもプレーした。クラブハウスには奥克彦さんの写真が「戦死者」として飾られ、オックスフォード関係者から、その45年の生涯をリスペクトされているそうだ。