芸術の世界でも、天才は遺伝しない。モーツァルトの息子のフランツは作曲家になったが、その作品は残念ながら平凡である。バッハや、ワグナーの子孫も作曲をしているが、天才の域には残念ながら達しなかった。
フランツ・モーツァルトは、「ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト二世」として売り出したが、肝心の中身が伴わなかった。天才がもし遺伝するものならば、「アインシュタイン二世」「トルストイ二世」など、「○○二世」がたくさんいてもよさそうだが、実際にはいない。
天才が遺伝しないということは、逆に言えば、希望である。両親がごく普通の人でも、子供が天才になる可能性は、常にあるのだ。
実際、天才たちの多くは、「偶然」発見されている。
モーツァルトの音楽の才能は、姉のピアノのレッスンを横で聞いていて曲を覚えてしまったことで「発覚」した。
18世紀から19世紀にかけてバチカンで活躍したメゾファンティ枢機卿は、ヨーロッパの各言語だけでなく、アラビア語や中国語など、30を優に超える言葉を「完璧に」話したと言われる。その才能は、大工だった父親の工場で遊んでいて、偶然隣にあったラテン語、ギリシャ語を教える学校の講義を理解してしまったことで見出された。
天才はどこに生まれるかわからない。誰もが、天才という当たりクジを引く可能性がある。すべての人が、潜在的に天才の親戚なのだ。
天才、バンザイ!
(写真=AFLO)