日常生活のなかで論理的思考力を身につけるためには、「正しいフォーム(型)」で思考・勉強することが重要だ。私はいつも「走り高跳び」を例に挙げる。小学校の体育の授業ならば、思いっきり飛び越えようが頭からジャンプしようが構わない。しかし、オリンピックを目指すのであれば、最初から「背面跳び」のフォームを正しく身につけて練習するはずだ。

算数・数学も同様で、テスト範囲の公式を丸暗記し機械的に答えを出すことに終始した勉強を、とうてい「正しいフォーム」とは呼べない。「なぜ・どうして?」という疑問を持つことが正しいフォームで、そのうえで問題に挑めば成長につながる。だから解けたときの喜びも大きいのだ。

その「なぜ・どうして?」を意識させるために、時々私は生徒に「答えをあえて見せ、正解までの途中経過を考えさせる」ことがある。「どうしてこの答えが出るの?」と考えることは、彼らにとって新鮮でもあるし、「なぜ・どうして?」を意識する習慣づくりとして有効だと考えるからだ。

よくありがちな「結果だけを見て叱る」ことを100回繰り返すよりも、「なぜ・どうして? を自力で考える習慣づくり」を仕掛けたほうが、子どもは算数・数学好きになるし、急激に成長していく。

これは職場の上司と部下の関係にも当てはまる。「なんで売り上げが伸びないんだ!」 と怒鳴ってもダメで、適切な問題解決手段を知らないということを前提に、問題点を把握・分析し改善しながら育てていくことが大切だろう。

(構成=田之上 信)
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