「1カ月間返品OK」「利息は当社負担」といった販売は、高いものを買う“恐怖感”や罪悪感を取り除く効果がある。人は一度使用したものに愛着を感じ、手放したくないという心理も巧みに利用している。客に気持ちよく買ってもらうための計算し尽くされた戦略とは。

なぜ、「高いものはいいものだ」と思うのか

「値段の高いもののほうがいいものだという心理作用(ヴェブレン効果)が、以前から日本人には強いと思います」

とは、目白大学教授で心理学者の渋谷昌三氏だ。ずっと売れ残っていた服を定価の何倍も高い値札にした途端、あっという間に売れた。そんな例は少なくない。店側としては、客に何となくよさそうだと衝動買いさせるわけだ。もちろん商品の種類によるが、値引きすれば売れるというわけではないのだ。スーパーに山と積んであるセール品に客が手を出しにくいことがあるのは、「買って当たり前」という暗黙の前提に反発心が生じるからだ、と渋谷氏は語る。