なぜ、そうなるのか。最初に左端に目がいく習性を利用し、自動販売機では左(上)端に一番の売れ筋を配置し、ホームページの作成は左上にトピック的なものをもってくるのがセオリーと言われるが……。

「確かに人は左端を見ますが、すぐ目に入ったものをすぐには買いづらい。ほかにもっといいものがあるかもしれない、という心理が働くからです。とりあえず右端までリサーチして、また左端方面へ目線を戻す。目に触れる回数が多い右端と真ん中ですが、より自分が手を伸ばして取りやすい真ん中が一番売れるということでしょう」(同)

DaiGo氏はある書店に陳列法を尋ねられたとき、以下のように答えたという。

基本的に左端にはアイキャッチとなる宣伝のポップなどを配置し、「売りたい本」は真ん中に置く。もしくは、黙っていても売れる人気本をあえて左端にして、その隣の真ん中の位置に店イチ推しの本を配置する。

「左端に売りたい商品を置いてはいけないことは確か」(同)

家電ショップなどでしばしば見られるのが、「売りたい商品の“劣化版”をラインアップに紛れこませる」という販売手法。

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(上)売りたい商品を「真ん中」に陳列せよ(下)劣化版をわざと入れて高い商品を売れ

A、B、Cの新商品を並べても、客は似たり寄ったりの機能とデザインで購入の決断がなかなかできない。しかし、そこへAの型落ち品など“劣化版”(D)もいっしょに並べると、顧客は、AとDとの比較対象で考え、「ならばAに決めよう」となることが多いとDaiGo氏は語る。

「同じメーカーでタイプの似ているAとDという商品だから比較しやすい。でも、BとD、CとDではうまく比較できない。言ってみれば、Dという“捨て駒”を商品棚に陳列することで、狙い通りAを多く売ることができるのです」(同)

このメカニズムは、「美女選び」(図参照)をするときにも当てはまる。