怪物1年生という「異物」でチームに化学反応

西東京は日大三高が優勝候補だった。

早実は予選のはじまりのゲームでは投手が打ち込まれ、エラーも出た。それが準決勝では日大三高に完封勝ち、決勝は5点差逆転勝ちだった。清宮もタイムリーヒットを放っている。

和泉は優勝後の会見で言った。

「清宮が入ってチームが変わった。清宮に引っ張られたところもあった。あっけらかんとして子供っぽいところもあるが、3年生中心に周りが彼を活躍させる環境を作っている」

予選の決勝。5点差をひっくり返した8回、シングルヒット、四球を積み重ねた回だった。

「あのイニングはチームになった気がする。個人も大切ですが繋がることが大事。清宮も感じたはずなんです、そんな気持ちを。今年の早実にはあの意識は大切だった」(和泉)

1つの秀でた個が加わって、化学反応を起こす。目標が定まって日々を過ごし、経験を重ねて強固な組織を作っていく。1試合ごと、早実は成長し西東京を勝ち抜いた。

全国大会が始まってから今年で100年目の夏の甲子園。その第1回に出場した早実が1世紀を繋いで今年、何を残してくれるだろうか。そして、怪物・清宮がどんな暴れ方をしてくれるのか。同校に定期的に出現する「1年生スター選手」の元祖、王貞治は、西東京予選で大活躍する後輩の怪物1年生についてコメントしている。

「(清宮は)やっぱりすごいね。打てる人は打てるんだよ」

※文中敬称略

【関連記事】
なぜ、都立小山台高校野球部員の7割は一流大学に現役合格できるのか
部下が見違える! 甲子園一番乗り「興南」の名将に学ぶ、人生に花を咲かせる「根っこ」の作り方
就任1年目から早大野球部を日本一に導いた「シンプル」指導術
清宮ヤマハ日本一と釜石W杯決定
【1】清宮克幸 「ボールが動くラグビー」に迷いなし