5回連続でMVPを受賞し、りそなグループ1万5000人の中で、上位60人以内に位置づけられる凄腕ウーマンがいる。りそな銀行でパートの営業スタッフとして働く大竹広子さんだ。

4年半前に入行して以来、本所・錦糸町・亀戸・小岩を中心とする墨東エリアを担当。他のメガバンクを尻目に、個人投資商品、不動産仲介業務、遺言信託などを売り続けてきた。

<strong>大竹広子</strong>●墨東エリア(本所・錦糸町・亀戸・小岩)営業第3部兼営業第4部。1981年短大卒業後、日本交通公社(現JTB)に入社。同社を結婚退社後も、2児の育児をしながら数々の営業をこなしてきた。4年半前から現職。「自分を生かすには営業しかないと思います」と語る。
大竹広子●墨東エリア(本所・錦糸町・亀戸・小岩)営業第3部兼営業第4部。1981年短大卒業後、日本交通公社(現JTB)に入社。同社を結婚退社後も、2児の育児をしながら数々の営業をこなしてきた。4年半前から現職。「自分を生かすには営業しかないと思います」と語る。

りそな銀行は、メガバンクでのシェアは最下位、ブランドで他行より劣る。だが、他のメガバンクに負けない理由を大竹さんは「人です。サービス業に徹することだと思います」と語る。

下町生まれの下町育ち。話をすると、ぐいぐいと会話の流れをつくり、人の懐に入っていく印象がある。入行するまで「投資信託が何か知らなかった」というが、なぜトップの成績を残し続けることができたのか。

入行当時は、外債型投資信託の販売が主な仕事。商品の勉強はもちろん、最初は日経新聞を読み、経済番組「ニュースモーニングサテライト」を見ることから始めた。見込み客は定期預金が満期になる顧客だ。訪問前に重要なのは、その人がどんな人物なのか「顧客の属性」を理解すること。雑談をしながらも相手に足りないこと、必要なことは何かを考え、客の好みを探る。次第に頭の中で顧客プロフィールが完成していく。

「仕事で私がお客様に対してできることは全部やってあげたい」。その姿勢がまた、客の心をつかむ。行内で「資産承継信託」と「遺言信託」の活用を広げるきっかけになったのが、大竹さんが契約した87歳の女性との案件だった。身寄りはなく、死んだ後より生きている間に認知症などになったらどうすればいいのか。そんな彼女の不安を払拭し、会社の利益にも繋がる手だてを必死に考えた。

また、ある一人暮らしの男性は資産はあるが、親族との折り合いが悪く、先々のトラブルが予想できた。玄関に入れてくれるまで1年半くらいかかったが、めげなかった。「なんとかしてあげたい」という気持ちが彼女を駆り立てる。相手の状況を「一番理解しているのは私なんだから」という自負がある。