「売り上げは前年を確実にクリアしていますね」

<strong>西川 力</strong>●コスモ石油販売埼玉カンパニーSS部部長。1965年、青森県生まれ。高校卒業後、丸善石油(現コスモ石油)に就職し、同社のSS(サービスステーション)の現場を経験して現職。社員100人、アルバイト200人の部下を叱咤激励し続ける日々だ。
西川 力●コスモ石油販売埼玉カンパニーSS部部長。1965年、青森県生まれ。高校卒業後、丸善石油(現コスモ石油)に就職し、同社のSS(サービスステーション)の現場を経験して現職。社員100人、アルバイト200人の部下を叱咤激励し続ける日々だ。

そう語るのはコスモ石油販売埼玉カンパニーSS部部長の西川力。埼玉エリア(一部栃木を含む)にあるコスモ石油ブランドの直営ガソリンスタンド26店舗(うちセルフ22店舗)の売り上げを伸ばすのが使命である。

コスモ石油は国内販売量で業界5位とブランド力では劣る。ガソリンは品質や価格で圧倒的な差をつけにくい。しかも最近はセルフ方式が増え、営業力を発揮しにくいはずだが、西川が担当するスタンドはどこも絶妙な営業力で前年比3割アップと業績好調なのだ。

西川が目をつけたのはガソリン以外のカーケアと呼ばれる商品。店頭にタイヤをずらりと並べ、洗車や車検、修理、中古車販売まで幅広く手がける店舗を展開している。

「利益はガソリンとカーケアが半々」というように、普通のスタンドならおまけ扱いのカーケア商品にめっぽう強い。

「クルマ1台に使うカーケア支出は、車検(法定費用除く)も洗車も含めて年間で約1万円といわれます。お客様の総数に1万円をかけたら相当の額ですが、その6割程度しかうちに落ちていない。だからまだまだ売り上げは伸ばせる」と鼻息は荒い。

例えば空気圧チェックはタイヤ交換につながる可能性があるため、無料でやっているスタンドが多い。西川流の真骨頂はそのきっかけづくりだ。

「タイヤの空気圧が低いクルマは見た目で何となくわかるんですよ。『運転中にハンドル、とられませんか。空気圧が低いみたいですよ』と声をかけます」

タイヤの減り具合や使用年数から入るのではなく、客の目線で運転に支障があるかどうか、安全かどうかを伝える。たとえセルフでも、そんな気遣いの声かけなら客も耳を傾ける。

周囲には大型カー用品店やタイヤ専門店がひしめくが、

「すぐ交換できるようにいろいろなタイヤの在庫が豊富にあります。カーショップやタイヤ専門店のチラシも見せ、『うちならこの価格』とやるんです。スタンドは高いというイメージがあるせいか、皆さん驚きますね」