【田原】ドットコムの経営には、どのくらいお金が必要でしたか。

【元榮】状況によって違いますが、だいたい月間1000万円強くらいはお金を使っていました。

【田原】それを法律事務所の稼ぎでまかなったのですね。売り上げを生みだしたのはいつごろですか。

【元榮】弁護士ドットコムにはいま、4つの収益モデルがあります。1つ目は有料会員のユーザーさんから月額300円いただいている会員料。サービスは無料で使えますが、モバイル端末から過去の法律相談データベースを閲覧するには有料会員登録が必要になります。これが安定的な収入をもたらした最初の収益モデル。始めたのが09年12月ですから、サービス開始から4年間は苦しんでいたということになります。

【田原】他の収益モデルは?

【元榮】次が広告収入です。最初は月数十万アクセスだったので広告では稼げなかったのですが、12年に月間サイト訪問者数が100万人を突破し、2つ目の柱として育ってきました。そして、3つ目が弁護士さんからいただく広告料です。先ほど言ったように、法律で紹介料はいただけないことになっています。しかし広告は解禁されているので問題ありません。このサービスを13年に始めました。これら弁護士ドットコムのサービスとは別に、06年から税理士ドットコムというサイトも運営。弁護士ドットコムとほぼ同じ仕組みですが、そちらは紹介手数料で収益を挙げています。

【田原】税理士の場合には弁護士法72条が適用されないから、報酬が取れるわけだ。これらを合わせると、いま年間の売り上げはどれくらい?

【元榮】15年3月期の業績は、売り上げ6.9億円、営業利益1.57億円で、前期比2.37倍の増収です。いろいろ先行投資してきましたが、固定費の伸びが緩やかになってきたところで売り上げが伸びてきたので、来期は、売り上げ10.8億円、営業利益2.83億円という業績予想。順調な成長ができると考えています。