まず期間について。期間の定めがない場合、保証契約は3年で失効する。期間の定めがある場合も最長5年まで。契約に自動更新を盛り込んでも無効になる。
また、発生した損害額すべてを賠償する必要もない。
「身元保証人の責任や金額は、会社側の監督責任など、諸事情が考慮されます。たとえば従業員が横領した場合、監督すべき会社側に過失があると判断されれば、身元保証人の責任が限定されます」
判例を見ると、身元保証人の責任範囲は、「発生した損害額の2~3割程度」が相場だという。新入社員に身元保証人を立てさせる会社側も、身元保証人を立てさせておけば安心、というわけではないことを知っておくべきだろう。
立てられなければ採用取り消しも
身元保証のサインをする前に確認すべきことが2点ある。1つ目は連帯保証なのか、連帯のつかない保証なのか。連帯保証のほうが債務から逃れにくい。2つ目は、会社の評判。ブラックな要素が濃い会社だと、本来は会社が負担すべき損害を従業員に押しつけてくる可能性がある。
ではもし、入社を希望する社員が会社から要求された身元保証人を立てられなかったらどうなるのか。
「企業には採用の自由があり、身元保証人を立てられない人の入社を断ることが可能です。ただし、たとえば内定時に説明がなく入社直前に保証人を求めたり、不合理な保証契約の場合は、契約解除が無効と判断されるかもしれません」
サイン拒否で親戚の子が入社できなくなると心が痛むが、くれぐれも判断は慎重に!
(図版作成=ライヴ・アート)