この投資(総資産)からより大きなリターンを得るには、どうすればよいか(図3)。まず思い浮かぶのは、仕入れた家具をいかに高い価格で売りさばくかの算段だ。「利幅の拡大」は、高収益化のひとつの源泉であり、その代表的な指標のひとつが売上高利益率である。

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(3)高収益の2つの源泉

小売り高収益化の源泉はもう一つある。小さい利幅でも、「回転率」が高ければ高収益化は実現する。仕入れた家具を、損にはならない価格でいち早く売り切ってしまえば、その売り上げを原資に次の仕入れができる。このサイクルを1年間に50回転させる(半額セールなどで毎週商品を売り切っていけば達成できる)とどうなるか。年2回転しかしない店舗の10分の1の利幅だったとしても、1年を通してみれば、この回転率の高い店舗のほうが投資効率は2~5倍高くなる。

次に考えるべきは、この2つの源泉をどこで高めていくかである。

道筋は3通りある。神戸大学教授の三品和広氏のフレームに倣えば、まずは「均整を深める」(『経営戦略を問い直す』ちくま新書)。小売企業であれば、これまでの商品取り扱い技術のオペレーションを整え、高度化していくという選択肢だ。

次に、「水平展開を図る」。取り扱う商品の分野を広げるという選択肢である。そして最後に、「垂直統合」。販売する商品の生産に、自ら乗り出すという選択肢である。

収益力が落ちれば、企業は衰退していく。これは重大な問題であり、その先に待ち構えているのは企業の死である。小売企業がこの中長期的な転落を逃れるには、本業の高度化を通じて、あるいはそれがかなわなければ、その水平展開、あるいは垂直統合を通じて、高い利幅あるいは回転率の維持や向上を図るしかない。