10年後に、55歳の橋下氏が戻ってくる?

大阪の住民投票の結果については、私は素晴らしいと思っている。行政区を変えるという維新の提案そのものはチンケで、効果もほとんど期待できない。それでもあれだけの僅差になった。大阪市の現状に不満を持っている人、大阪市の将来を不安に思っている人がそれだけいるということだ。やり方次第で大阪都構想、その先に道州制に向かって前進できそうな感触を得た。

大きな流れで見れば、現状の統治機構で細切れ行政を続けていけば、日本が衰退するのは間違いない。関西道のような広域行政単位をつくって、それぞれが経済政策を含めて自由闊達で特色ある地方自治を行わなければ、世界から日本にヒト、モノ、カネは集まってこない。道州とは世界から富と繁栄を呼び込むための単位なのだ。

スコットランドの住民投票では独立派が敗れたものの、その後のイギリス総選挙ではスコットランド独立党が第三党に躍進した。大事なのは今回の大阪の住民投票で出てきた芽を絶やさないこと。

おぞましいほどの中央集権を破壊して、地方のエネルギーを解放しなければ日本は変わらない。関西圏は、そして人間味・EQを加味して10年後に戻ってきた55歳の橋下徹氏は、依然としてその先駆になりうるのだ。

(小川 剛=構成 AFLO=写真)
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