業界秩序を破壊する影響力
空いているモノ、空いている設備、空いている時間、空いている能力――。自らはリソースを持たないで空リソース(Idle)をマッチングさせるなど、アイドルを有効活用した経済の新しいフレームワーク、「アイドルエコノミー」が出現していると説明した(http://president.jp/articles/-/15831)。アイドルを活用したプレーヤーは業界秩序を破壊するほどの影響力を持つようになった。前回はその事例として民泊プラットホームのAirbnb、タクシー配車アプリのUber、クラウドソーシングのUpworkを取り上げたが、他にも多数のプレーヤーが存在する。
Houzz(ハウズ 米)は住宅を改修したい人と住まいの専門家を橋渡しするコミュニティサイトを運営。つまりリフォームのプラットホームだ。世界約70万件、日本国内1000件(今年4月時点)の設計事務所、建築家、工務店などが登録、施工例を展示して一般ユーザーの相談や依頼を受ける。医者、弁護士、コンサルタント、旅行ガイド、サイバースペースでは専門家の空き時間を有効活用するプラットホームが台頭している。
今、アメリカで赤丸急上昇中のWeWorkはオフィスの賃貸会社。アメリカ10都市で29カ所の事務所を拠点に事務所のサブリースをする。又貸しなら礼金や保証金は必要ないし、面倒な契約書類を揃えなくてもネットで契約が完了する。WeWorkを使えば一気に全米にオフィス展開ができる、ということで起業家などに人気を呼んで、わずか創業5年で時価総額5000億円の会社に急成長した。
メディアでいえばニュースのキュレーションサービスなどは典型的なアイドルエコノミーだろう。自前の記者を抱えずに、世界中からニュースを集めてユーザーの好みに合わせたものをスマホアプリ経由で無料配信する。日本ではLINE NEWSやSmartNews、Gunosyなどのキュレーションアプリが知られている。