ウィキペディア化してしまった首相談話
内外から注目された安倍晋三首相の戦後70年談話は「侵略」「植民地支配」「反省」「おわび」というキーワードを入れ込みながら、過去の談話から引用した間接表現で済ませるなど、右からも左からも文句が出ないように配慮した内容だった。そつなくまとめたというより、各方面の聴衆が聞きたい言葉をちりばめた結果、(集合知でつくり上げる)“ウィキペディア化”してしまったという印象を受けた。
戦後70年談話を発表する安倍首相(8月14日)。
一点だけ安倍首相らしかったのは、「子や孫、その先の世代に謝罪を続ける宿命を背負わせてはならない」という一言。心から謝罪する気持ちがあれば、そんなことは言わない。アウシュビッツ強制収容所解放70周年の演説で「人類に対する犯罪に時効はない。我々には当時の残虐行為を次世代に伝え、記憶を薄れさせない大きな責任がある」と語ったドイツのメルケル首相(ワイゼッカー元大統領も同じ主旨のことを繰り返し述べている)とは対照的だ。
2年前、政権発足当初の安倍首相は、「侵略の定義は定まっていない」などと言いたいことを自分の言葉で言っていた。穏当なようで危険なスローガンは「日本を取り戻す」で、安倍首相が取り戻したいのは、「(戦前の)美しい日本」というカッコ付きの日本なのだ。
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