「在籍要件」と「支給日要件」
一般的に大企業では、賞与に関する在籍要件や支給日要件が明確に規定されている。たとえば「在籍要件1月1日~6月30日、支給日要件7月10日」といった具合だ。この場合、1月1日から在籍し続け、7月10日にも会社にいれば賞与がもらえるが、6月30日前、あるいは7月10日に退職しているともらえない。4月1日に入社して在籍し続けている場合は、「在籍要件を半分満たしているので、賞与も半額」が一般的だ。
ただし、これは在籍要件が1月から6月の場合。賞与の査定期間を確保するため、上期の賞与の在籍要件は10~3月、下期の賞与の在籍要件は4~9月に設定しているところも多い。その場合、4月入社では上期の在籍要件を1日も満たさず、賞与ゼロになる。賞与支給の在籍要件が自社ではどうなっているのか、事前に確認しておきたい。
「支給要件を満たさなくても、『寸志』といって1万~5万円程度のお金をくれる会社もあります。寸志と名がついていますが、税法上は賞与と同じです」(竹内氏)
一方、大企業と違って中小企業は、支給要件が明確でなかったり、そもそも賞与についての規定が何もないところも多い。
「規定が曖昧な会社では、賞与が支給されるかどうかは社長の腹づもり次第。一般社員でさえそうなので、新入社員の夏のボーナスはなおさらです。もらえないところが多いし、もらえなくても文句はつけられません」(同)
中小企業では、賞与がもらえるかどうか支給日まで判然としないケースも多い。賞与がもらえるのかはっきりしないのに、それを当て込んで買い物などをすると、あとで困りかねない。新入社員は、賞与をもらえない前提で家計を考えたほうが無難だろう。
(図版作成=ライヴ・アート)