プロ野球12球団を16球団にすればさらなる地方創生も

プロモーションやイベントの工夫で顧客層と商圏を広げ、ファンクラブを事業化し、各種の飲食サービスやグッズ販売を活性化し、地元メディアとの連携を強めていく。こうした新しい動きで球団の事業の柱を増やしていくには、人材が必要である。

千葉ロッテマリーンズでは、瀬戸山氏が球団代表となる以前は、球団職員のほとんどが親会社から派遣されていた。瀬戸山氏は、球団職員の一部の15人ほどを独自に採用することにした。海外でスポーツビジネスを学んだりした経験をもつ異色の人材を集めたことで、球団は活性化し、球場で観客と選手が一体化する新しいシーンが次々に生まれた。

そこでの採用の第一号が、荒木重雄氏である。荒木氏は現在、「侍ジャパン」のNPBエンタープライズの役員を務める。他の採用者たちも、市議会議員に転じたり、Jリーグの本部で働くなど多方面で活躍中だ。このように、大過なく球団職員として一生を過ごすタイプとは真逆の人材を、瀬戸山氏は求めた。

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パ・リーグの地方創生型マーケティングの構図

異色の人材を地域に呼び込み、そこから生まれる交流によって新しいものをつくり出す。地域においてプロ野球球団が担う役割は、このようなところにもあるのだ。

パ・リーグでは、全六球団がつながることからも新たな展開が生まれている。六球団の共同事業会社であるパシフィックリーグマーケティングが設立され、インターネットでの試合中継や過去の試合動画の配信を行う「パ・リーグTV」など、新しい事業を担っている。選手がキャンプで着用するアンダーウエアの共同スポンサーシップなど、六球団の連携で新たな収入源が広がっている。

パ・リーグのマーケティングは大きな変化を遂げつつある。だからパ・リーグが面白い。こうした動きを見ていると、自民党の「日本再生ビジョン」ではないが、プロ野球12球団を16球団にすれば、さらなる地方創生につながるのではないかとも思えてくる。以上の知見は、スポーツビジネスにとどまらない、幅広い産業に応用できそうだ。

(図版作成=平良 徹)
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