北朝鮮の対日債務はそれだけではない。95年6月に北朝鮮の要請に応じて日朝政府が合意した対北朝鮮コメ支援は、総量30万トンのうち、15万トンは無償であるが、残る15万トンは10年据え置きで、30年の延べ払いの契約であった。また、95年10月に合意されたコメ支援も、20万トンのコメを10年据え置きで、30年の延べ払いの契約であった。これらのコメは実際に契約通り北朝鮮に送られている。従って、北朝鮮は2005年からコメの代金を日本に返済する義務がある。ところが、実際に05年になっても、北朝鮮は全く返済に応じなかった。日本の農林水産省は毎年、返済要求を北朝鮮に送っているのだが、反応はない。北朝鮮が日本に対して05年から30年間の返済義務があるコメ代金であるが、これは全く進展が見られない状況にある。

ほかにも、北朝鮮が抱えている対日債務がある。95年3月に設立された朝鮮半島エネルギー開発機構(KEDO)の北朝鮮における軽水炉建設費用である。北朝鮮の違反によって、06年5月にKEDO理事会は軽水炉建設の終了を正式に決定した。国際協力銀行(JBIC)はKEDOに軽水炉建設費用を融資していたのだが、その融資残高448億円を日本が肩代わりすることになったと07年12月22日に「読売新聞」で報道された。この448億円は、日本が北朝鮮に請求しなければならないのだが、北朝鮮は支払いに応じていない。

日本と北朝鮮の間には、拉致問題だけではなく、数々の問題が山積みになっている。この北朝鮮の対日債務問題もその1つである。これらの問題が解決されるのはいつの日であろうか。それは日朝交渉の動向にもよるのである。

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