現代のチンギス・ハンは幸せになれるか

ただ、なかには年収が3億円を超えてきても、相変わらず忙しく働き続けるお金持ちがいます。これはどうしてでしょうか。

ずっとハードワークする人は、2つのタイプに分かれます。本人が誇りを持ってその仕事を楽しんでいるタイプと、口では仕事が好きだと言いながらも、自分が働かないとビジネスがつぶれるかもしれないという強迫観念があって、最前線から去ることができないタイプです。

心配なのは後者のタイプです。自ら降りられない人は、チンギス・ハンの人生を歩むことになります。チンギス・ハンは、モンゴル帝国を拡大するために生涯、戦争を続けて、最期も戦場で迎えました。それがはたして、本当に幸せな生き方なのでしょうか。

国際的に活躍する起業家はある意味で、現代のチンギス・ハン。ご本人たちがビジネス帝国を大きくしていくことを心から楽しんでいるならいいのですが、そうした生き方に幸せを感じられるのは一部の人だけです。普通の人でもミリオネアになれますが、普通の人がチンギス・ハンになると不幸になる可能性があります。これからミリオネアになろうという人は、人生の踊り場をどこにつくるのか、きちんと設計しておくべきです。

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一代で財産を築いた人、あるいはこれから築こうとする人には、メンターの存在が重要です。一代でミリオネアになった人の中には、自分の才覚で財を築いた自負があるせいか、あえてメンターを置かない人もいます。しかし、時代の流れが変わったときに、自力派は対応できずに淘汰されてしまう恐れがあります。

本当のお金持ちは、景気の波を3回はかいくぐっています。私が師事している竹田和平さん(竹田製菓創業者)は、かつてボウリング場を経営していたことがあります。1970年代初めにブームが起こり、ボウリング場は半日待ちの行列ができるほど盛況に。しかし、オイルショックをきっかけにブームが去り、売り上げは前年比でわずか4%になったそうです。こうした時代の洗礼を受けながらも財産を増やしてきた経験は、何事にもかえがたいはず。

竹田さんのような経験豊富な人にメンターになってもらうことで、ミリオネアとしてグッと安定感が出てきます。よいメンターと出会えれば、ビジネスゲームをどこで降りて悠々自適の生活に入るのかという問題についても、有益なヒントがもらえるでしょう。「何でも自分で」と考えず、素直にメンターの声に耳を傾けることも、幸せなミリオネアであり続けるためのコツなのです。

お金の専門家 本田 健(ほんだ・けん)
経営コンサルティング、会計事務所など複数の会社を経営する「お金の専門家」。著作シリーズは累計520万部を突破。主な著書に『ユダヤ人大富豪の教え』『20代にしておきたい17のこと』など。
(村上 敬=構成、文 PIXTA=写真)
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