早期発見で100%近く治る!

最近、デスクワークなどで長時間座り過ぎのセデンタリー症候群が、生活習慣病を増やすと問題になっているが、座り過ぎは結腸がんのリスクも増やす。必要だと分かっていても3日坊主で終わりがちなのが運動だが、週1回程度定期的なスポーツを行うだけでも結腸がんのリスクは下げられるという。通勤時や会社の中では、エスカレーターやエレベーターをなるべく使わず階段を利用するなど日常生活の中でこまめに体を動かすことも重要だ。

ただ、日常的に運動し、禁煙、禁酒、減量、食物繊維の多い食事を心がけたとしても、大腸がんになるリスクはゼロにはならない。早期に発見されればほぼ100%近く治るがんなので、40歳以上の人は年1回、大腸がん検診を受けることも大切とされる。大腸がん検診は、便の中に血が混じっていないか調べる便潜血検査(検便)で、40歳以上の人が年1回受けることで死亡率を下げることが科学的に証明されている。ほとんどの自治体で便潜血検査を実施しているので、受けたことのない人は自治体に問い合わせてみるとよいだろう。

大腸がん検診には、肛門から内視鏡を入れる大腸内視鏡検査を受ける方法もある。内視鏡検査による検診も死亡率を下げることが分かっているが、内視鏡検査を実施する医師の力量にも差があり、どこでもできるわけではないので、こちらは希望者が任意で受ける検診に位置付けられている。特に、血縁者に大腸がんになった人がいる場合には、40歳以上になったら1度、大腸内視鏡検査を受けてみるとよいだろう。

便潜血検査で「陽性」が出たら、できるだけ早く精密検査を受けることも大切だ。「本当にがんだったら怖いから」と放置してしまう人は意外と多く、やっと重い腰を上げて精密検査を受けたときには大腸がんが進行していたというケースもある。便潜血検査が陽性だからといって、絶対にがんとは限らないので、あまり怖がり過ぎないようにしよう。内視鏡検査で大腸ポリープや超早期がんが見つかったときには、そのまま内視鏡でがんを切除できる場合もある。

精密検査を受ける際、注意したいのは、内視鏡検査は大腸がんの内視鏡治療の実績のある医療機関で受けることだ。大腸内視鏡による治療で済めば、開腹手術を受けるよりかなり楽とはいえ、内視鏡検査の前には2リットルの下剤を飲んで大腸を空になければならない。さらに肛門から何度も内視鏡を挿入されるのは気持ちがよいものではない。検査と治療が一度に済むならそれに越したことはないわけだ。

内視鏡治療では取り切れないくらいがんが広がっていれば、外科手術の対象となる。リンパ節に転移がある場合は、一般的に、手術の後に抗がん剤治療によって再発を予防する。大腸にがんが再発したり、肺や肝臓といった他の臓器への転移が見つかったりしても、手術で取り切れれば完治が望める場合もある。大腸癌研究会のデータによると、他の臓器に転移があったり腹膜にがんが広がっていたりする人の5年生存率は13%と確かに厳しいが、新しい薬が次々開発され、大腸がんの治療成績は確実に上がりつつある。

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