鎌倉の世から受け継がれてきたサムライの礼法。
“実用・省略・美”を掲げ日々心身を鍛えるその教えは、「和の心」で世界と闘うビジネスマンの無上の糧である。一子相伝750年、小笠原流宗家が語る。

礼法の本質は「鍛錬」にあり

礼法と聞くと、決められた動作を覚えるだけの堅苦しい行儀作法だと思われるかもしれません。しかし、武家を中心に伝えられてきた小笠原流礼法の本質は、日常生活の中で行う心と体の「鍛錬」です。

現在、私は礼法の教室をいくつも持っており、大学でも教えていますが、初めて参加される方は一様に戸惑います。話を聞くお勉強ではなく、体を使う鍛錬から始まるからです。基本である歩き方の練習だけでも、始めて5分もすると汗だくになります。筋肉痛にもなるし、思惑違いからすぐにやめてしまう方もおられます。