06年の番号ポータビリティ制度のスタート直後はシステムダウンや宣伝のゆきすぎなどもあり大変でしたが、その後、こうしたプランのおかげで契約者数は伸び続けました。
累計契約数は、ボーダフォン・ジャパン時代で1522万件(06年4月)でしたが、ソフトバンクとなってからは2314万件(10年8月)と劇的な増加を果たしたのです。その意味で、価格競争は“武器”になるといえます。
ただし、常時、激安キャンペーンをやっていては会社は持ちません。「シェアをとりにいく」期間を決めず、だらだらと価格を下落させたら会社は消滅します。要所要所で、ここぞ、というタイミングで打ち出してこそ効果を発揮する。価格以外にあまり打つ手がないときに実施するものでしょう。
京都大学経営管理 大学院准教授 曳野 孝氏が解説
自身が公言するように、孫さんは民族的マイノリティです。アウトサイダーがエスタブリッシュメントを打ち破るには、ラディカルな戦略が必要。その意味で捨て身の価格競争や規制緩和の強硬な要求は合理的な判断です。同じ民族的マイノリティのMKタクシーの青木定雄元会長も、料金値下げで監督官庁とやりあっている。アウトサイダーがメジャー産業に挑戦するためには、こうした戦略を採用することに意味があります。
●正解【A】――常時、激安キャンペーンをやっていては会社は持たない
※本記事は2010年9月29日に開催された「ソフトバンクアカデミア」での孫正義氏の特別講演をもとに構成されております。設問文等で一部補筆・改変したものがあります。
(大塚常好、小澤啓司、原 英次郎、宮内 健、村上 敬=構成 時事通信フォト=写真)