──現状の課題は。また今後の展開は。
添乗員の遠隔操作でウエアラブルグラスに3D・パノラマ映像が映り、音声がスタート。江戸城天守閣や江戸時代の日本橋の町並みが再現される。今のところ対応言語は日本語と英語のみ。

【小川】添乗員が全端末をまとめて遠隔操作できますので、お客様が操作を難しいと感じることはあまりないと思います。メガネをお使いのお客様にはやや装着に難があるかもしれませんが、今後より簡便なものを目指します。画像をさらにリアルにしたい。日本橋のCG風景も、たとえば川の水が流れる表現を加えれば、ぐっと雰囲気が出る。

現在はもう見られない歴史的ランドマークは日本中にたくさんあります。福岡城や竹田城の建物の復元、関ヶ原の合戦の再現など、可能性はいろいろあると思います。すでに地方創生事業の一環として、さまざまな自治体からお問い合わせが来ていますし、全国の城や博物館で使われている既存のCGデータを活用する動きも始めています。

日本の成長戦略の一つは観光だと、言い切っていいと私は思います。その中で、世界の動きについていくのではなく、社外の皆様のお力もお借りしながら、「これからこうなる」を先取りしていく会社でありたいですね。

近畿日本ツーリスト社長 小川 亘
1953年、鹿児島市生まれ。76年大阪市立大学卒業後、同社入社。執行役員、常務取締役を経て、2012年9月にKNT団体株式会社(現・近畿日本ツーリスト)社長就任。「スピードをもって環境に対応する」がモットー。
(川口昌人=構成 小原孝博=撮影)
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