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謝罪の回数(3段階)を重ねると相手に伝わる

一方、立正大学講師で心理学者の内藤誼人氏は、「3段階謝罪法」を提案する。まず、大事な商談や打ち合わせに遅れそうだということが確実ならば、遅れてしまうことを電話でなるべく早めにお詫びするのだが、この電話は3段階謝罪に入る前フリだ。

「電話のあと、対面での商談・打ち合わせの席で再び丁重に謝り、その理由もしっかり述べます。これが第1段階。その次に、商談が終わったあと第2段階として今度はメールで謝罪するのです。文面はそれほど考えこまなくてもいいので、とにかく謝罪したという形を相手のメール受信箱に残すのです。対面謝罪に加え、メール謝罪。2段階にすることでよりお詫びの気持ちが伝わるでしょう。でも、それでおしまいではありません。2週間ほど経過したら、別件で届けものなどをしたような際に遅刻した非礼を詫びる手紙を同封したり、ファクスを送信する際にひとこと謝罪の文を添えたりする。3段階の時間差の謝罪により、失礼したことを私は忘れません、というアピールをできるのです」(内藤氏)

アナログ、デジタル……。情報伝達の方法(メディア)を変えて繰り返し伝えることによって、メッセージが相手の心に響きやすいという心理的な特徴がある、と内藤氏は言う。

アメリカのテキサス大学のある教授の調査では、対面で1度言われた情報より、メディアを変えて2度伝えられた情報のほうが、信憑性が高いと感じやすいという実験結果を得たそうだ。下手な鉄砲も数撃ちゃ当たる。「回数を重ねる」ことが謝罪にも効果を発揮するということなのだ。

謝罪の急所:3段階謝罪法で回数を重ねる

高井伸夫(たかい・のぶお)
弁護士。1937年生まれ。東京大学法学部卒業後、1963年に弁護士登録。企業の雇用調整によるリストラ問題、企業再生の各種相談や講演活動をおこなう。
内藤誼人(ないとう・よしひと)
心理学者。立正大学講師。有限会社アンギルド代表としてコンサルティング業務をする一方、執筆業に力を入れる心理学系アクティビスト。
(大塚常好=構成)
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