もはや逆転出世の可能性がない中高年諸君よ、ここで腐ってはいけない。上手に定年までぶら下がる方法を伝授しよう。
管理職といっても40~50代で圧倒的多数を占めるのは部下なし管理職。企業によって部長代理、課長代理あるいは担当部長・課長の肩書を与えられているが、要はライン管理職の補佐的役割を担う人だ。
消費財メーカーの人事部長は「部長代理という役職を置いているが、実際は課長よりも格下の存在で決裁権限もない。うちには30代後半から40代前半の課長も多いが、本来は年下の課長をサポートする役割を担ってほしいという思いがある」と指摘する。
だが、そんな思いとは裏腹に課長を出し抜いて部下に指示を出したり、やたらと自分で仕切りたがる人が多い。課長を立てるぐらいの度量がほしいが、自己主張が強すぎる困り者が少なからずいるという。
具体的に年下上司に嫌われた事例として、製薬会社の人事課長はこんなケースを紹介してくれた。
「地方の営業支店に30代の営業課長が赴任したが、迎え入れた40代後半の課長代理から『この地域は私がよく知っているからあなたは何も心配しなくてもよい』と言われたという。しかも全然情報も出さなければ、何をやっているのかという報・連・相もない。あんたは何も知らないから黙っていろ、と言わんばかりの姿勢をとられて困り果てた課長から泣きつかれたことがある」
人事課長は「上司の命令に逆らうようなら処分を下すので、放置するな」とアドバイスしたという。そういうタイプは「勤怠記録に記入し、時期がくればリストラ要員として退出願う」と言い切る。
では逆に、会社に重宝がられる補佐役とはどういうタイプか。
「どうして立場が逆転しているかを認識し、部下として何をやるべきかを理解している人だ。たとえば皆の前では一歩引いて決裁権を持つ上司を立てる。それでいて上司がいきがったことを言ったら、上司と2人だけの席で『言い方がきつすぎて下の若い社員がへこんでいます』とかアドバイスしてあげる。年齢差による経験を武器に上と下に対して、こうしたほうがいいんじゃないか、とか助言できる組織のフォロワーに徹することが大事だ」(人事課長)
もちろん、会議の席でもでしゃばることなく、上司に意見を求められたときに発言するという低姿勢も重要だ。何より上司との信頼関係を築くことが大切。「組織のハブのような存在になれば、頼むからここにいてくれと言われるのは間違いない」(人事課長)という。