グロービスの竹内秀太郎主席研究員が、企業が変節点を越えながら永続するために必要な理念経営を考える本連載。今回は佐賀発のハウスウェディング企業であるアイケイケイの取り組みをご紹介しよう。(文中敬称略)

佐賀県27年振りの東証一部企業

2013年1月、九州の人たちには嬉しいニュースが報じられた。地元発のアイ・ケイ・ケイが東証一部上場会社となったのだ。佐賀県の企業としては佐賀銀行の上場以来27年ぶり。同社発祥の地、伊万里市の企業としては初の快挙だという。

アイ・ケイ・ケイの創業は1995年。伊万里市で家業として営んでいたホテルと結婚式場を継いだ金子和斗志氏が会社を設立した。00年には九州初のハウスウェディング施設「ウェディング&パーティハウスベルアミー(現ララシャンスベルアミー)」を佐賀県鳥栖市にオープン。その後、福岡、宮崎、大分、佐世保と九州で店舗を展開するだけにとどまらず、富山、金沢、福井、高知、いわき、盛岡と九州外にも進出を果たし、ハウスウェディング業界上位の一角を占める企業に成長した。

九州の地方企業としてスタートした同社が全国企業にまで成長できたのはなぜか。同社は自社の経営の強みとして「理念経営の実践」をあげている。経営理念を有する企業は、規模の大小を問わず珍しいことではないが、彼らが成長する過程において、理念がどのように作用したのだろうか。まず、地元から新しい地域に進出していく上で立ちはだかる壁を、同社がどのように乗り越えていったのかを見ていこう。