「勝てる」立地を厳選

人口の多い大都市エリアの方が市場規模すなわち挙式件数の絶対数は多いが、参入している競合も多い。まずは、施設を用いるサービスビジネスには不可欠の「立地」の問題である。

競合大手が人口40万〜50万人以上の都市部を中心に出店攻勢をかけていたのに対し、アイ・ケイ・ケイは15万人以上の地方都市を出店候補地として検討対象とした。そのほうが、自社が地元九州の小規模商圏で培ってきた経営ノウハウが活かせるからだ。実際に九州外最初の進出先の富山市、金沢市は人口40万人台だが、次に行ったいわき市は30万人、福井市は20万人都市だ。しかも結婚式におカネを使う土壌がある地方を選んでいる。

また、競合が未参入の場所であっても後から来ることもありうる。現在の状況のみならず将来の変化も考えておく必要がある。式場の施設は一度つくったら、そう簡単に変えることができないだけに、交通インフラや周辺環境の将来的開発予定も考慮し検討した。一般には出店計画を立てる際、10年間の採算を考えるというが、同社は20年間勝てることを基準に慎重に吟味した。

出店候補地には、実際に足を運び、土地の広さや形、周囲の環境、そのエリアの顧客特性を考慮し施設のコンセプトを練りに練った。検討対象となった候補地の内、実際に出店にGOサインが出たのは1%にも満たない。新規出店ペースは年1〜3件。市場全体がどんなに拡大していようとも安易な拡大に走ることなく、長期的に勝ち続けられる立地を厳選するスタンスを堅持した。