科学――世界の成り立ちを知るために

■宇宙論のすべてがわかる

『宇宙はなぜこのような宇宙なのか』
  青木 薫/講談社現代新書

この宇宙を支配している諸原則を洗い出していくと、不思議な結論にいたる。さまざまな物理法則、定数、条件はすべて最終的に人間が存在するのにちょうど適するように定まっている。大いなる設計者がいるから? それは科学の禁じ手。近代科学は神様という超自然的存在を持ち出さずにこの世界を理解しようと努めてきたからだ。その歩みを否定しかねない「人間原理」が今世紀に入ってから急速に支持者を増やしているのはなぜか。科学書の名翻訳で知られる著者が初めて書き下ろした、宇宙論のすべてがわかる画期的な見取り図。

■人類の祖先が出会ったもの

『人類20万年 遙かなる旅路』
  アリス・ロバーツ/文藝春秋

私たち人類(ホモ・サピエンス)は20万年まえアフリカで生まれた。ある集団がアフリカから新天地を求めて旅立った。理由は定かでない。ヨーロッパに達した彼らは驚くべきものに出会った。別の人種(ネアンデルタール)である。そこでいったいなにが起こったか。英国の人類学者アリス・ロバーツ(若くて美人)がたどる人類の壮大な旅路。

■生命をどう定義するか

『やわらかな生命』
  福岡伸一/文藝春秋

福岡ハカセの本も一冊。私の問いは、生命とは何か? 生命を定義しようとする試みはずっと昔からなされてきた。どんな特性に着目するかによって定義も変容してきた。私の答えは、生命とは動的平衡。たえず動きつつバランスを保つもの、流れゆくもの、それが生命。ゆえに生命はやわらかく、かつ強靭だ。この視点から生命を考えたエッセイ集です。

(面澤淳市=構成 的野弘路=撮影)
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