ウソをついていないか→「課題」に対する姿勢を見る

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知人に紹介されて会ってみたビジネスマン。妙に調子がよく、すぐにも業界を席巻しそうなプランを滔々と語る。本当なら魅力的だが、実現できるかとなるとかなり怪しい。

そういうとき、リスクを避けて相手をシャットアウトすることは簡単だ。いちばん安全かつ確実な対処法といえるだろう。だが「安全確実」を行動指針にするようでは、事業の成長はおぼつかない。いくらかキケンな話に、どう対処したらいいだろう。

「怪しい話からは一律に距離を置こうとすると、『食わず嫌い』になってしまいます。すごく胡散臭いけれど、仕事のパートナーとしてはすばらしい(笑)、そんなタイプの人もいるからです。ただ、それを見極めるのはなかなか難しいと思いますね」

高島氏が腕組みをする。しかし、相手の反応しだいで、ある程度は見通しをつけることができるという。

「やはりその話の『弱み』というか、課題は何かを聞き出すのです。そのときに納得できる弱みや対処の仕方を語ってくれたら、『いいな、信用できそうだな』と感じることはあるでしょう。ここで大事なことは、単に『御社の弱みは何ですか』と尋ねるのではなく、まずは自分たちの弱みの話をすることです。それがフェアだと思います。たとえば『私たちの課題はこういうことで、そこのところを解決したいと思っています』。そのうえで『御社の課題は何でしょうか』と聞くのです」

TFTが給食費補助の支援をしているのはアフリカ諸国の小学校。学校を運営しているNGOやNPOから、海を越えて支援要請がやってくる。ほとんどは電子メールだ。

「当校には何百人の子供たちがいて、以下のような食事を届けていきたいので、6カ月分何十万円の予算規模で支援してほしい」

このような内容である。

「一食あたり50円と計上されていたら、それは高い」(小暮氏)という相場はあるものの、適切な予算であるか、水増しはないかをどう見抜くのか。

「水増しをしてくるところはなかなかありませんが、費目を細かく見ていくと、地産の食材ではなくアメリカあたりから輸入した食材を使うので輸送費分高くなっているとか、食事を作るための器材類の費用が含まれているということはままあります。それがわかれば、もっと効率的な予算が組めるのではないかという議論ができるのです」

営利事業ではないだけに、少しでも「危ない」話に乗るわけにはいかない。あくまでも慎重に、申請書を読み込むのが小暮流なのだ。