3.正しい教育と間違った教育の違いとは?
――ファイナンシャル教育が重要であることはよくわかりました。しかし、お金について学ぶこと自体にも注意すべき点があるのではないでしょうか。
【キヨサキ】お金に関するアドバイスというのは、とかくその提供者が儲けたくてやっていることが多い。だから、それをファイナンシャル教育だと勘違いしてしまったときに、問題が起こります。あなたにお金や投資についてきちんと教えてくれる人と、単に金融商品を売りつけようとしているだけの人との違いは、勉強すればわかるようになるでしょう。しかし、私が考える最大のリスクは、自分自身を上手くコントロールできないことです。お金の増やし方や経済の動きについて知識を得ようと思えば、誰だって行動を起こせるはずです。やるかやらないかは、あなた次第なのです。
4.よく見れば、コインには側面が3つある?
――「有名大学に入って大企業に就職すれば安泰」という神話は日本でも崩れ、代わって創造性を育む教育の重要性が叫ばれています。我が子が社会に出てから困らないように、お金について教えるにはどうしたらいいでしょうか。
【キヨサキ】かなり小さいうちから、ものを交換することや取引の意味を子どもはわかっています。お金はそうしたやりとりに使う手段であることが理解できるようになったら、ファイナンシャル教育を始めるタイミングを迎えたということです。好むと好まざるとにかかわらず、お金は私たちの日常生活で大きな役割を担っていますから、より早いうちからお金のことを理解していれば、そのぶん有利です。
親が子どもに与えるべき最良のアドバイスは、「古い考え方にとらわれずに、クリエイティブな発想と起業家精神を持つこと」です。確かに、就職は多くの人にとって良い道であるかもしれませんが、必ずしもそう思う人ばかりではありません。自分の夢や情熱を追求したい人は、むしろ会社に入ると目的地の見えない道に迷いこんでしまったように感じます。
それともう1点、「コインには側面が3つある」ということを教えてあげてください。もしかして、あなた自身もコインには裏表の2つしか側面がないと思っていませんか。よく見てください。もう1つあるでしょう。さまざまなものの見方に対して心を開き、目の前の問題や状況を俯瞰して多角的にとらえることの大切さを子どもに教えるべきです。