「持ち家は負債」「一生懸命働いても生活は楽にならない」

ロバート・キヨサキ氏

ロバート・キヨサキ氏は2000年に発売された世界的なベストセラー『金持ち父さん 貧乏父さん』でそう説き、マイホームを夢見て額に汗してがんばる世界中のお父さんたちに衝撃を与えた。

51の言語に翻訳され、109カ国で出版されたこの本に登場する「貧乏父さん」とは、高学歴で安定した公職にありながら生涯お金で苦労した実父のことで、「金持ち父さん」とは、学歴はなくても大成功した実業家のことだ。給料に頼るのではなく、投資や起業によってお金を自分で作り出せるようになりなさいという「金持ち父さん」の教えに従い、キヨサキ氏は金や不動産に投資して資産を増やし、事業を立ち上げて成功し、今も投資家として精力的に活動している。

日本や米国ではようやく経済回復の兆しが見えてきた一方で、キプロス共和国では金融危機が発生するなど、世界の金融市場は不安定な状況が続く。そんななか、より豊かな生活を目指してお金を増やしていくために、個人は今なにをすべきなのか、キヨサキ氏に聞いた。

1.家計の不安から解放されるには?

――アベノミクス効果による株高で日本市場はにわかに活気づいていますが、一般家庭では長く続いた不況で家計が圧迫され、不安を拭えません。どうしたら賢くお金を増やすことができるでしょうか。

【キヨサキ】ごく普通の人々が第一にやるべきことは、お金に関して賢くなることです。そのためにはファイナンシャル教育が必要です。具体的に言うと、お金にまつわる専門用語を学び、正確に使いこなせるようになること。そして、不況下でもチャンスをつかむのは可能だということを理解しておきましょう。たとえば、将来性があるのに過小評価されている資産や事業というのは、まさにそうしたチャンスの芽なのです。

まず自分自身の教育に投資してください。基本的なコンセプトを理解して用語を覚え始めると、お金を動かして育てることの本質を理解し、自信が持てるようになります。情報を分析して賢い判断を下すために、武器を身につけたと思えるようになるでしょう。するとお金について語るとき、もはや恐怖を感じることはありません。むしろ、将来についての明るい希望や可能性について語れるようになるのです。