9割は65歳以上の高齢者

詰まった餅が見えていれば、口の中に指を入れて直接取り出す方法もあるが、かえって奥に押し込んでしまう危険もあるので、無理に喉の方まで手を入れないように注意しよう。また、掃除機のノズルを細い吸引管に付け替え、それを口の中に入れて餅を吸い出した人もいるようだが、この方法もかえって餅を押し込んでしまう危険性がある。口の中や喉を傷めることもあるので、できたら避けたい方法だ。

ぐったりして意識がない場合には、心臓マッサージ(胸骨の圧迫)、人工呼吸、AEDを用いて心肺蘇生を行い、救急車の到着を待とう。餅が取れて元気になったとしても、一時的に呼吸が止まった状態になると体には大きな負担がかかっている。特に高齢者の場合は、医療機関へ行き異常がないかみてもらったほうがいいだろう。

餅などを喉に詰まらせて救急搬送される人の約9割は65歳以上の高齢者、その次に多いのが5歳未満の乳幼児だ。餅を喉に詰まらせ正月から大騒ぎしないようにするには、餅は小さく食べやすい大きさに切り一口の量は無理なく食べられる量にする、急いで飲み込まずよく噛む、お茶や水、雑煮の汁などで口の中をあらかじめ湿らせてから餅を食べるようにするといった配慮が大切だ。

特に、高齢者や乳幼児と一緒に餅を食べるときには、様子がおかしくないか、さりげなく見守るようにしよう。高齢の親に「餅を喉に詰まらせないように」と言おうものなら、「年寄り扱いするな」と怒られそうだが、日ごろ元気な人でも加齢と共に飲み込む力が衰えている場合があり過信は禁物だ。高齢者や乳幼児と一緒に餅を食べる機会がある人は、いざというときのために、背部叩打法などのやり方をチェックしておくとよいだろう。食べ物による窒息は、餅だけでなく団子、飴、寿司、野菜、果物などさまざまなもので起こっているので注意が必要だ。

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