さまざまな女性の個性をどう活かすか
当グループの中核会社である損保ジャパン日本興亜では、数年前に「総合職」「一般職」というコース別人事制度を廃止し、総合系職員として一本化した。そして、国内外を問わず転勤がある「グローバル職」と一定地域内に勤務する「エリア職」に分け直した。グローバル職は3~4年で他部署に移るが、エリア職の場合、職場が限定されるので、幅広い経験を積むという点ではハンディキャップがあり、さらに全社的、画一的な育成方法では限界がある。
そこで、損保ジャパン日本興亜の北海道本部では、女性社員のキャリアアップをさらに後押しするため、本社施策に頼らず、独自に管理職育成研修やメンター制度などの仕組みを取り入れたプログラムを導入した。17人の女性社員が選抜され、現在キャリアアップに取組んでいる。
また、損保ジャパン日本興亜ではダイバーシティ推進の一環として、女性の“感性”を活かす店舗運営を目的に、「女性中心の営業店」の導入を進めており、2012年の導入開始からすでに54店を数えるまでになった。この「女性中心の営業店」は営業成績も他の営業支社に比べても遜色はなく、改めて思うのは女性を特別扱いせずに、思い切って任せることが人材育成のためにも大事だということである。
いずれにしても、少子高齢化の時代にあって、今後もさまざまな人材の活躍が企業経営には必要だ。ダイバーシティには女性や外国人だけではなく、高齢者の活躍推進も含めていいだろう。かつての日本企業は社員の画一化を促進したきらいがあった。だが、これからは多様性を活力にするグループ全体のダイナミックな配置・処遇を通じた企業の競争力の向上が求められる。それこそが真の「Diversity for Growth」だと考えている。
1956年、東京都生まれ。早稲田大学商学部卒業後、安田火災海上保険入社。2010年に損害保険ジャパン社長に就任、2014年9月より損保ジャパン日本興亜会長。12年より日本興亜損保との持ち株会社NKSJホールディングス(現・損保ジャパン日本興亜ホールディングス)社長を兼任。