学歴は仕事の実績として顕在化する
創業数年後から、大卒や専門学校卒などの新卒を採用するようにした。採用力を強化するために、様々な試みをした。その1つが、オフィスを高層の聖路加タワー(中央区)に構えたことだった。
「10数年、採用に関わり、試行錯誤を経て、みえるものがある」と切り出す。
「高学歴な人が入社後、期待通りの働きをするとは限りません。残念な結果になることもあります。それでも、面接をした結果、同じ点数の学生が数人いて1人を選ぶならば、少々の難があっても、最も高学歴な人を選ぶでしょうね。ポテンシャルが高く、伸びしろがあると思えるからです」
このようなことも付け加える。難易度の高い大学は、中学校や高校のときに勉強をしてきた人が多い。その姿勢や意欲は、新卒時の試験では評価されるべきものであり、入社後も、仕事やその知識などを吸収しようとする姿勢がいい。キャリアを積んでいくと、これらの姿勢や意欲が、仕事の実績として顕在化する可能性があるのだという。
そして、このように念を押す。
「3~5年後にどのくらいに伸びているかが、ポテンシャルを考えるうえで1つの目安。入学難易度の高い大学出身者には、3~5年後にある程度、力を発揮している人が比較的多いのです。ただし、そのような大学を卒業したとしても、ダメな人はダメ。そのあたりは、採用試験で念入りにみるようにしています」
車氏が採用担当者と話すとき、入学難易度の高い大学として話題にするのが、次の大学だという。東大をはじめとした旧帝国大、私立では早稲田、慶應、上智、学習院、明治、立教、青山学院、中央、法政など。
「当社では、これら以外の大学や専門学校出身者がたくさんいます。みんながよくがんばっているし、優秀です。相当に高い実績を残している人も多くいます。配属や人事評価、昇格などで学歴を重視することはありえませんね。新卒の採用時には判断する材料が少ないから、学歴をみているだけのことです。
中途採用の場合は、社会人になってからのキャリアと実績を重視します。仕事への取り組みや姿勢、考え方、人格などがすでに出来上がっていますから、学歴うんぬんで採用を決めるべきではないと思います。それにしても、新卒を採用する際にエントリーする人の学歴は関係ない、というのはタテマエだと思いますね」