社員同士のコミュニケーションも非常に重要だと感じています。そのために、本社の3階フロアに明るい洋風の社員バーをオープンさせました。例えば私が「おーい、今日、帰りにちょっと一杯やろうか」と言っても、誘うことができる人は限られてしまいます。街の居酒屋に出かけても、他社の人間は大勢いても、弊社の人間はいません。
社内にアフター5で酒が飲める場所があれば、周りは弊社の社員ですから、「よう、しばらくだな」「おまえ、最近何しているんだ」と、自然と話の輪が広がっていきます。最近は、些細なことでもメールで連絡する社員が増えてきました。飲みニケーションの機会が増えれば、普段話すことのないような社員が隣にいたら、「ようよう」と言葉をかけ合うだろうと、コミュニケーションの活性化を狙って始めたのです。
コミュニケーションを活発化したいという思いは、私がたどった会社人生にも関係しています。実は、入社2年目に出社拒否をして会社を辞めるつもりでいました。当時の課長が相当のパワハラで、「もうあんたの下じゃとても働けない」とタンカを切り、大阪の本社から神戸の実家に帰り、10日間くらい出社拒否を続けたのです。
そうするとたまたま大学の先輩が部長をしていて、私の家に電話がかかってきたのです。「もうおまえ、ぐずぐず言わずに東京に行くか」と言ってくれて、即座に「行きます」と答えました。そして、そのまま東京勤務になり今日に至っているわけです。
こうした経験を踏まえ、上級職(課長クラス)に昇進した全社員をグループに分け、飲みニケーションを含めて話をする機会をつくっています。そのときに「悩んでいる部下がいたらよく話を聞いてやってくれよ」と話しています。愚痴を聞いてやる人がいないから、優秀な人材でも落ち込む場合がある。それを防ぐためにも、社内のコミュニケーションは重要なのです。
1947年生まれ。兵庫県立神戸高校卒。71年京都大学工学部精密工学科卒業後、久保田鉄工(現クボタ)入社、2002年取締役、04年常務取締役、06年専務取締役、08年取締役副社長、09年代表取締役社長、11年1月から会長兼社長。14年6月逝去。
座右の銘・好きな言葉:「為せば成る 為さねば…」(上杉鷹山公)
座右の書・最近読んだ本:『サムスンの決定はなぜ世界一速いのか』
尊敬する経営者・目標とする経営者:トヨタ自動車工業 大野耐一元副社長
私の健康法:ウオーキング