「とにかく不規則な仕事なので都心に住んでいないと不便だし、親に何かあったらと考えると、車を手放すわけにもいきません。育ててくれた両親にもそれなりの生活はさせてあげたいですし……」
絵里子さんが入社したのは、バブル華やかなりし頃。でも、先輩の話によると、「実は、その頃から会社は傾きはじめていた」という。そんな彼女たちも今はみな、リストラの恐怖に脅えている。
「この後、6月に1000人規模の早期特別退職があり、機材や路線のダウンサイジングが終わる9月頃にはいよいよ整理解雇という噂も出ている。私もいつクビになるかわからない状態なんです」
孤独死などのニュースを見る度に不安になるが、仲間の独身CAの間では「寝てる間に死ねたら楽だよね」などという冗談を言い合うこともあるという。
何か副業でも探したいと思う一方で、絵里子さんは、まずは婚活をしたいという。先行きが不安な今は、どうしても安定した家庭が欲しい。自分が病気になったり、両親が要介護になったりしたらと思うと本当に不安になる。
「会社が安定していた頃は、別にずっと独身でもと思っていた。でも今は、神様がそろそろ家庭を持つことを考えなさい、と言っている時期なのかなと思う」
最初の結婚は、自分が幸せになることばかりを考えていたという絵里子さん。離婚してからも何人かとおつきあいしたが、つねに「少し待てば、もっと条件のいい人が現れるのでは」という気持ちで再婚に踏み切れなかった。でも今は、「相手を幸せにしてあげなければ」という気持ちが生まれている。
「でも年収は最低1000万円はないと。私と両親くらい養ってやるという気概のある男性であれば、もう条件は問いません」
(澁谷高晴=撮影 ※写真と本文は関係ありません)