プロトクライシス代表取締役 前田三喜夫氏が解説

プロトクライシス代表取締役 前田三喜夫氏

問題点を整理すると、(1)漏洩した情報が膨大である、(2)反社会的組織に情報が渡った、(3)漏洩元が従業員であるという3点で深刻です。

まず考えるべきは、お客様が何を感じているかです。個人情報が反社会的組織に渡ったと聞けば、「どう悪用されるのか?」と不安を感じるでしょう。選択肢はBしかありません。このようなときこそ真っ先に記者会見を開き、メディアを介してお客様と向き合うべきです。「お詫びし、再発防止策を説明してお客様の不安を取り除く」というスタンスで会見に臨めば、メディアも必要以上に厳しく追及はしないものです。

これを契機として情報管理体制を見直したことはすばらしい対応だったと思います。郵便為替の送付も、創業経営者ならではの英断です。ただ、バッシングを受けたのは、会見に臨むスタンスに問題があった可能性もあります。企業は被害者だというスタンスが出てしまい、反発を呼ぶことがあるのです。

●正解【B】――お客様の被害を最小限にすることを最優先。これを糧にし、社内体制を強化する

※本記事は2010年9月29日に開催された「ソフトバンクアカデミア」での孫正義氏の特別講演をもとに構成されております。設問文等で一部補筆・改変したものがあります。

(大塚常好、小澤啓司、原 英次郎、宮内 健、村上 敬=構成 小倉和徳=撮影 共同通信=写真)
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