話をよりおもしろくする、内向的な偉人たち
プレゼンの冒頭、スーザンが初めてサマーキャンプに参加した時の思い出を紹介した。キャンプで本を取り出した彼女は、キャンプの精神としてみんなと一緒に行動するようにと諭された……と、こんなことは人生で何十回と経験してきたという。キャンプはあくまでも“内向的”な人生で起こってきたエッセンスを濃縮させた例ながら、こうした実例をあげることで、どこか遠くで起こっている話はぐんと身近になり、聞き手の経験の範囲に落とし込まれる。スーザンは、さらに例を挙げていく。
たとえば、職場でも同様に外向的なリーダーが評価される傾向がある。けれども、創造力を発揮し、リスクを上手く避けることができるのは、注意深い内向的な性格を持つリーダーである。外向的なリーダーは自分で仕切ってしまい、他の人のアイデアを取り入れないことが多いのに対し、内向的なリーダーの方がメンバーから上手くアイデアや意見を引き出す傾向があるからだとしている。
そして、歴史上で変革を成し遂げたリーダーには内向的な人がたくさんいるとして、ここから自分の主張を支える人物たちを登場させていく。みんな自分を無口で静かな話し方をする、内気な人間だと言っているリーダーたちだ。
たとえばエレノア・ルーズベルト、ガンジー……心理学者が研究したところ、彼らはアイデアを交換し、発展させることに優れている一方で、非常に強い内向的な面を持つことがわかったという。
さらに、孤独が得てして創造性の重要な要素になっていることもある例として、歴史上の人物から現在活躍する人までが登場する。
「ダーウィンは 1人で森を長時間散歩することが多く、パーティの招待はきっぱり断っていました。ドクター・スースとして知られるセオドア・ガイゼルは、数々の素晴らしい創作をカリフォルニア州ラホヤの自宅裏にある孤独な塔のような書斎で生み出しました。最初のアップルコンピュータを作ったウォズニアックは、当時働いていたHPでいつも自室に1人閉じこもっていました。子どもの頃いつも家に閉じこもっているような内向的な性格でなければ、そもそも技術を極めることもなかっただろうと言っています。
世界の主要な宗教を見ると探求者が現れます。モーセ、イエス、ブッダ、ムハンマド……。・・・ 探求者は1人で荒野をさすらい、その中で顕現や啓示を得て、みんなのいるコミュニティへと持ち帰るのです。」
世界をリードした内向的な人物たちの名前が列挙されていくが、ただの羅列に終わらず、「なるほど」と話をサポートして説得力をもたせるように登場させていく。こうした名前に関して、アメリカの心理学者ルドルフ・フレッシュは、こんな言葉を残している。