マネープランを通じて、お客様の望む暮らしを実現できるようサポートすること。それが私の仕事です。人生設計を考えるとき、多くの方が不安に思うのが、将来の医療費のことです。でも、もっと大切なことは、医療そのものの情報と、その情報をどう判断し、どう選択し、どう行動していくかだと感じています。

私が頼りにしているのが、大阪のNPO法人ささえあい医療人権センターCOML(http://www.coml.gr.jp/kodomo10kajo-kanpa/index.html)。COML(コムル)は「賢い患者になりましょう」を合い言葉に、1990年9月に活動をスタートしました。活動の柱である電話相談を通して、患者やその家族が直面するさまざまな悩みや疑問などに耳を傾けてきた団体です。毎月送られてくる会報誌には、電話相談の事例や医療に関する最新の情報などが盛り込まれており、「私や家族だったらどうするだろう?」などと考えながら読み進めています。

「賢い患者」ってどんな人?

COMLが考える「賢い患者」とは、病気に際して以下のような行動がとれる人です。

ステップ1:病気を自分の持ちものとして自覚する
ステップ2:病状や治療方法の選択肢に関する説明を理解しようと努める
ステップ3:自分はどのような治療を受けたいかを考える
ステップ4:考えた結果を言葉にして医療者に伝える
ステップ5:治療が始まれば医療者とコミュニケーションをとりながら、自分にできる努力をする
ステップ6:戸惑ったり迷ったりしたときは、一人で悩まず相談する

「賢い」とは、医療者と同レベルの知識を身に付けることではありません。一つしかない大切な自分の身体を他人に丸投げしないということです。そのための心構えとして発行しているのが、小冊子『新・医者にかかる10箇条』です。1998年の発売以来、21万冊を超える大ヒットとなりました。

(1)伝えたいことはメモして準備
(2)対話の始まりはあいさつから
(3)よりよい関係づくりはあなたにも責任が
(4)自覚症状と病歴はあなたの伝える大切な情報
(5)これからの見通しを聞きましょう
(6)その後の変化も伝える努力を
(7)大事なことはメモをとって確認
(8)納得できないときは何度でも質問を
(9)医療にも不確実なことや限界がある
(10)治療方法を決めるのはあなたです

この『新・医者にかかる10箇条』は、インフォームド・コンセントを推進するために、厚生省(当時)の依頼でCOMLが研究班の一員として手掛けたものです。ところが、電話相談やその他の活動を通じて感じたことは、大人になってから突然「賢い患者になりましょう」と言われても、なかなか難しいという現実でした。10か条を実践するには、自覚症状の把握や伝達、質問、自己決定などの基本姿勢が身についていなければならないからです。